ヘッジあり・なしの選び方

グローバル・サプライチェーン・ファンド(以下、GSCファンド)は、海外の資産に投資し外貨建てで運用が行われることから、円高や円安といった為替変動の影響を受けることになります。GSCファンドでは、こうした為替変動リスクを踏まえて「ヘッジあり」「ヘッジなし」の2種類を設定、同じ投資戦略でもファンドの値動きは大きく異なるものとなります。 本コンテンツでは、「為替ヘッジ」の役割と、「ヘッジあり」「ヘッジなし」それぞれの特徴を解説。商品を選択する上で重要なポイントになりますので、ぜひ参考にしてください。

為替ヘッジとは

為替ヘッジとは、海外資産に投資する際に発生する「為替変動リスク」を抑える仕組みです。

GSCファンドは、投資家から預かった資金を、円からドルに換金して売掛債権へ投資します。GSCファンドの投資戦略は、安定して高水準なリターンを獲得できるのが特徴で、ドルベースでは毎年6.5%以上のリターンを生んでいます。

しかし、このリターンがそのまま投資家のリターンになるわけではありません。投資家向けのリターンは円ベースで計算されるため、円とドルの為替レートが投資時から変動すれば、リターンも変化します。例えば、投資開始時から1年で10%の円高になった場合、ドルベースの安定したリターンがでていても、円ベースではマイナスになることがあります。逆に10%の円安となった場合は、為替変動分の差益を追加で得ることができます。
為替ヘッジは、ヘッジコストを負担することで、こうした為替変動による影響を大幅に抑制する、保険のような役割があるのです。

※為替ヘッジを説明するためのイメージ図です。

GSCファンド「ヘッジあり」「ヘッジなし」の特徴

為替ヘッジの有無によって、GSCファンドの特徴と実績シミュレーションは下記のようになります。

安定性のある「ヘッジあり」

為替変動のリスクが排除され、円ベースでのリターンを安定的に享受することが期待できます。GSCファンドの類似戦略ファンド(2018年運用開始)における過去の運用実績シミュレーションでも、マイナスになった年はありません。 円ベースのリターンは、ドルベースのリターンから為替ヘッジコスト(ヘッジに係る手数料)が差し引かれます。ヘッジコストは主に日米の短期金利差によって決まり、過去20年間は0-6%のレンジになっています。
安定したリターンが期待できる一方、ヘッジコストがかかることや、円安による値上がりは享受できないという点には留意が必要です。

期待リターンを最大化する「ヘッジなし」

ヘッジコストがかからないため、ドルベースでのリターン(毎年6.5%以上)を享受することができます。 但し、為替変動の影響を受けるので、円安になればリターンは増加しますが、円高になると減少します。2022年から円安が続いていることもあり、類似戦略ファンドの運用開始以降で見ると、為替によるプラスが加わり円ベースでは年率約13%のリターンを得ています。しかし、今後円高が進んだ場合は、マイナスのリターンになる可能性もあります。

※ご提案戦略と同一ガイドラインで運用される外国籍投信の米ドルベースの月次リターン実績値を基に、弊社がヘッジコスト及び信託報酬を勘案して算出した円ヘッジベース・日次リターン(シミュレーション)です。当戦略の運用会社であるSiegfried Asset Management社からのデータに基づいています。
※これらは過去の実績に基づくデータであり、将来の運用成果等を保証するものではありません。

為替ヘッジあり・なしの選び方

「ヘッジあり」は、為替変動リスクを排除し、安定したリターンを求めたい方に向いています。例えば、元本割れをできるだけ避けたい運用におすすめです。
「ヘッジなし」は、為替変動リスクを受け入ることができ、且つ期待リターンの最大化を目指したい方に向いています。例えば、これから円安になると予想し、GSCファンドのドルベースのリターンに加え、円安による為替差益も受け取りたいという場合には、ヘッジなしが適しているといえるでしょう。また、為替変動の影響を考慮した上で、長期的な期待リターンを最大化する運用におすすめです。仮に、為替が極端な円高に動き150円から120円になった場合は、為替による影響で20%の損失が発生します。しかし、GSCファンドのドルベースのリターンが毎年6.5%以上であることを前提に考えると、3年程度で損失を全てカバーすることが想定できます。勿論、GSCファンドは投資商品であるためドルベースでの高リターンが将来にわたって続くという保証はありませんが、2018年の類似戦略ファンドの運用開始以降、安定した成果を実現しています。ドルベースのリターンをある程度想定できるのは、GSCファンドならではの投資戦略といえるでしょう。

*一定の条件を前提としたシミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではありません。

どちらを選ぶにしても、リスク・リターンの特性について理解し、自身の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことが重要です。 商品の選び方については、商品セミナーでも解説していますので、ぜひご参加ください。

【豆知識】ヘッジコストはどのように決まる?

為替ヘッジを行った場合に発生するヘッジコストはどのように決まるのか。「ヘッジあり」を検討している人は知っておいて損をすることはありません。
ヘッジコストは、主に「外貨の短期金利(期間1年以内の資金の貸し借りに用いる金利のこと)と日本円の短期金利の差」によって決まります。例えば、ドル円のヘッジコストの場合は下記のように推移しています。

※出所:Bloomberg

2022年から米国のFRB(連邦準備制度理事会)が利上げを早いペースで開始した一方、日本は金利を据え置いたため金利差が拡大しました。これにより金利の高いドルに資金が集中して円安が進み、経済活動にも大きな影響を与えました。日米の短期金利差によって、ヘッジコストは瞬間的に6%に達したこともありましたが、FRBが利下げに転換し、日本の中央銀行が利上げを行ったことで金利差が反転し、足元ではヘッジコストも減少傾向にあります。
尚、ヘッジコストは主に「外貨と日本円の短期金利の差」によって決定しますが、通貨の需給の影響も多少受けるため、金利差と完全に一致するわけではありません。

尚、ドル円のヘッジコストの平均は、計測期間別に下記のようになります。